2019年10月21日まず部下に話してもらう
今回は私のことは棚の上に上げた上で、思ったことを書きます。
数日前、2日間集中セミナーのために、新幹線で名古屋に移動しました。
私は、3列席の通路側に座りました。
通路をはさんだ私の席の横には、東京での仕事を終えた同じ会社の人が、前の席を180度回転させ、4人向かい合わせで話しています。
仕事帰りですから、お酒を飲みながら大きめの声で話をしています。いやでも私の耳にその話が聞こえてきます。
おつまみを食べ、お酒を飲みながら話しているのは、主に上司とおぼしき人でした。
「今日のような取引先へのアプローチの仕方はね、~」という感じで、どうもご自身の仕事上の知恵を語っているようです。
話を聞いている3人の部下の様子は、上司の方を見ながらリラックスした様子でうなずいて聞いていますが、何となく話につきあっている、という雰囲気です。
しばらく語った後、上司がトイレと喫煙ルームに行ってしまいました。
想像通り、残された部下3人は、やれやれ、という雰囲気です。
上司の悪口は言っていないようでしたが、「あの人はお酒ちゃんぽんするとすぐ酔っ払うよね~」などと話しています。
その後、部下同士で仕事の話をし始めました。やがてその話に熱が入り、お互いに盛んに意見を言い合っています。真面目な人たちだな、と思いました。
やがて、上司が戻ってきました。元通り、お酒を飲みながらまた語り始めます。
すると、今回は部下の人は黙って聞いていませんでした。上司の言っていることに対して、自分なりの意見を言っています。
決して口論をしているのではなく、いい雰囲気でお互いに今の仕事をより良くするための意見交換をしている、という雰囲気になっていました。
きっと、上司がいない間に話したことで気持ちがほぐれて、上司が戻ってきた後も意見が言いやすいテンションになったのでしょう。
私はこの様子を見ていて、会議や飲み会の場で、部下や新人など、なかなか自分から話にくい人に、まず話をしてもらうことは大事だな、と感じました。
そうした人たちにしばらく話をしてもらい、それを肯定的に聞くことで、参加者の多くが安心して話ができる雰囲気ができるのでは、と思います。
ファシリテーション(会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進み成果が上がるように支援すること)の世界では、「ランク」ということばがあります。
これは、一般的に、部下よりも上司の方が、年下よりも年上の方が、女性よりも男性の方が、発言力が強い、というものです。
本来、こうしたことはあってはならないものですが、現実には、残念ながらこうしたことはありうると思います。
ではあれば、特に発言力の強い方に入っている人は、そうした現実を認識して、自己の発言をコントロールすべきです。
会議などで、位の高い人が長い時間発言をすることはよくあることですが、それが本当に生産的な行動かどうか、TPOを見ながらよく考えるべきだと思います。
新幹線の例に戻れば、この上司ははじめに部下の3人に様々に意見を言ってもらうように仕向ければ、はじめから会話もはずんだことでしょうね。